誰のためかを 1 文で言えるまで、作りはじめない
採らなかった案幅広い人が使えるように作る
どんな人が使い、それを見て何をするのか。これを 1 文で書けるまで作りはじめない。目に見える困りごと(作業を速くしたい)で止めず、その先で何を得て、どう楽になるのかまで書く。
「みんな向け」に作ると、誰にも響かない。幅を持たせるほど一つひとつの機能が平均的になり、わざわざ選ぶ理由がなくなる。尖らせたものは後から広げられるが、平均的に作ったものを後から尖らせることはできない。
中小企業診断士がつくったアプリの作品集
How I build / Rules
作るとき・進めるとき・伝えるときに迷ったら、どちらを選ぶか
仕事を始めるたびに、AI に最初に読ませている文書がある。書いてあるのは仕事の進め方だけで、何をどう作るかは書いていない。案件が変わっても、使う言語が変わっても、同じ文書を使う。以下に、その中身と、そう決めた理由を並べる。
決めごとのほとんどは、判断に迷ったときにどちらを選ぶかを、前もって決めたものだ。うまくいくコツを書いたものは少ない。選ぶ向きが決まっていれば、急いでいても疲れていても、同じほうを選べる。その場で毎回考え直すより、結果がぶれない。
並びは仕事の順にした。何を作るかを決める → 計画を詰める → 進める → 伝える → 自分の判定を疑う → 終わったあとに残す。この作品集そのものの作り方(データの持ち方や、画面の撮り方など)は、読む人の役に立たず、ほかの仕事にも持ち出せないので、決めごととしては 1 つも載せていない(根拠に挙げた実例には、この作品集を作ったときのものもある)。
載せているのは進め方だけ。技術の選び方や設計の作法は扱わず、決め方・進め方・伝え方の決めごとに絞った
決めごとは、どれも「迷う場面」と「そのときに選ぶほう」の組でできている。判断が割れたときにどちらへ進むかを、先に決めておく。下の表に、よく起きる 6 つの場面と、それぞれで選ぶほうを並べた。
ここから先は、決めごとを仕事の順(作りはじめる前 → 進めているあいだ → 伝えるとき → 終わったあと)に、6 つの節に分けて並べた。
作る手間が下がったので、差は何を、どんな考えで作るかでつくようになった。作れること自体は、もう強みにならない。この節の決めごとは、どれも手を動かす前に書き終えておかないと役に立たない。
採らなかった案幅広い人が使えるように作る
どんな人が使い、それを見て何をするのか。これを 1 文で書けるまで作りはじめない。目に見える困りごと(作業を速くしたい)で止めず、その先で何を得て、どう楽になるのかまで書く。
「みんな向け」に作ると、誰にも響かない。幅を持たせるほど一つひとつの機能が平均的になり、わざわざ選ぶ理由がなくなる。尖らせたものは後から広げられるが、平均的に作ったものを後から尖らせることはできない。
採らなかった案作りながら、どこまでやるかを決める
作りはじめる前に、完成したときの告知文と、よく聞かれそうな質問への答えを書く。そこに書けた価値だけを作り、書けなかったものは作らない。作る範囲は放っておくといくらでも広がるので、どこまで作るかを先に決めておく。
作りながら決めると、「作れるかどうか」で判断しがちになる。けれど、作れる機能を足すことと、価値を足すことは別の話だ。告知文を書き終えたら競合を見て、選ばれるにはどこまでの品質が要るかを決める。誰も作っていない分野なら、品質は高くなくてよい。
採らなかった案そのつど、いちばん良いほうを選ぶ
何を優先するか(速さ・簡潔さ・機能の多さ・情報を外に出さないこと)を、「速さと機能がぶつかったら速さを取る」という形で先に書いておく。迷ったときに、そのまま当てはめられる細かさで書く。「品質を大事にする」のような書き方では、ぶつかったときに何も決まらない。
「そのつど良いほうを選ぶ」と、選ぶたびに答えが変わる。要望を全部聞けば、どれも中途半端になり、結局どれも選ばれない。
採らなかった案手を動かしながら覚える
初めて使う技術や初めての分野では、まず標準的なやり方、実際に動いている例をいくつか、作り手が薦めるやり方を読む。選べる手を増やしてから設計する。調べものを分担させるときも、その分野に詳しい役に加えて、定石を並べるだけの役を必ず 1 つ置く。
「分からない問題」と「知らない手法」は違う。分からない問題は、試行錯誤すれば解ける。知らない手法は、選択肢に入っていなければ何回試しても出てこない。手を動かして埋まるのは前者だけなので、後者は先に調べるしかない。
同じ理由でうまくいかなかった試みをやめる前に、同じ材料の別の使い方を 3 つ挙げてから決める。駄目だったのが考え方そのものなのか、使い方だけなのかは、並べてみないと分からない。
作るものが決まってから、作りはじめるまでの詰め方。ここでは、4 つの段の順番そのものを決めごとにしている。目的と制約 → 案を 2〜3 個比べる → 1 問ずつ確かめる → 要らないものを削る、の順に進む。順番を入れ替えると、後の段で決めたことに前の段が引きずられる。
採らなかった案作り方から詰めて、目的はあとから言葉にする
計画の 1 段目では、目的と制約、それに何が揃えば成功と言えるかを確かめる。作り方の話は、その後にする。
作り方から入ると、目的が「その作り方でできること」まで縮んでしまう。しかも、縮んだことは後から読んでも分からない。制約に合わせて削ったのか、目的がもともとその程度だったのか、書いた本人にも見分けがつかなくなる。
採らなかった案最初に思いついた案を詰めていく
1 案だけを詰めると、その案が良いのか、最初に浮かんだだけなのかが分からない。並べるのは、選ぶためではなく、選んだ理由を残すためだ。比べた記録があれば、後で前提が変わったときに、どの判断を見直せばよいかが分かる。
ただし 2〜3 個で止める。案を増やしても良くなるとは限らず、比べること自体が目的になってしまう。
採らなかった案分からない点をまとめて 1 度に確認する
要件・制約・優先度にあいまいな点があれば、推測で進めずに確かめる。ただし、聞くのは一度に 1 問だけ。選択肢の形にできるなら、選んでもらう。
まとめて聞くと、答える側は全部を頭に入れてから答えることになり、結局いちばん簡単な質問にしか答えが返ってこない。1 問ずつなら、前の答えを踏まえて次の質問を変えられる。まとめて聞くと、手間は答える側に寄る。
採らなかった案拡張しやすいように、先に受け口を作っておく
計画の最後の段では、削る。いま要らない機能と、いま要らない拡張の余地を落とす。
先回りして作った受け口は、いざ要るときには要件が変わっていて、たいてい合わない。合わないまま残っていると、次に触る人はそれを前提だと思って設計してしまう。使われない受け口は、無いより害が大きい。
採らなかった案作ってから、必要そうなところにテストを足す
新しく作るときや大きく作り替えるときは、何をどの層で検査するかを計画のうちに決める。部品ごとの検査、部品をつないだ検査、最初から最後まで通す検査を、どんな割合にするか。テストを書く前に、動かさなくても機械がコードを読むだけで弾ける誤りはどれか。
後から足したテストは、いま書いたコードが通るように書かれてしまう。それでは実装を書き写しただけで、検査にならない。
作業を進めているあいだの決めごと。どれも「うまくいっていないことを、うまくいっているように見せない」ためにある。止まる、言う、選ぶ。どれも、黙って進めるより気まずいほうを、あえて選んでいる。
採らなかった案できるところまでやってから、どこまでできたかを報告する
始める前に「何が揃えば完了か」を 1〜3 行で書く。2 回試しても満たせなければ、そこで止めて状況を報告する。回数を先に決めておくのが要点で、その場で決めると、たいてい「もう 1 回」になる。
成功条件が無いと、止めどきも分からない。「もう少しで動きそう」と思ったまま、動かない時間がいちばん長く続く。
採らなかった案とりあえず始めて、苦しくなってから相談する
大きな作業の前に、長くなることを伝え、分けて進める案を出す。途中で余力がなくなりそうなら、無理に続けず、いったん要点をまとめて区切り直す。
限界に近い状態で続けると、質が落ちるうえに、落ちたことに本人が気づけない。気づけないことは報告もできないので、始める前に言っておくしかない。
採らなかった案どちらの顔も立つように、間を取って書く
今ある決めごとと、いま必要なやり方がぶつかったら、どちらか一方を選び、選んだ理由を書く。選ばなかったほうには「整理が要る」と書き残す。
両方を立てるように書くと、矛盾は消えないまま見えなくなる。次に触る人は、2 つが食い違っていることを知らないまま、どちらか片方だけを守ってしまう。
採らなかった案全部終わってからまとめて報告する
区切りを越えるたびに、済んだことと残っていることを短くまとめる。読む人のためでもあるが、いちばんの狙いは、途中で方向がずれたときに戻れる地点を作ることにある。
最後にまとめて出すと、ずれていたときに全部やり直しになる。
採らなかった案自分が良いと思う書き方に揃える
書式や書き方の決まりは、良し悪しより揃っていることのほうが効く。そこに既にあるやり方に合わせる。異論があれば、勝手に変えずに、言葉にして伝える。
自分 1 人で全部を書くなら、どちらでもよい。後から誰か(未来の自分を含む)が読むなら、揃っていないこと自体が、後々まで残る手間になる。
採らなかった案ほぼ終わっているものは、完了として報告して補足を添える
飛ばしたところや確かめきれていないところが 1 つでもあれば、「完了」とは言わない。エラーは隠さず、失敗は目立つように報告する。「おおむねできています」と書くと、どこができていないのか読む人に分からない。
これはいちばん破りやすい決めごとでもある。報告する側は作業を終えたいし、受け取る側も「終わった」と聞きたい。どちらも「完了」を望んでいるので、都合の悪い事実だけがはじき出される。
採らなかった案知っている範囲で最新のものを使い、違っていたらあとで直す
フレームワークや実行環境の最新版は、覚えている知識で決めず、その場で一次情報(作り手自身が出している情報)を調べて決める。世代が 1 つずれると、使える書き方も推奨されるやり方も変わるので、気づかないうちに古い作り方が混ざる。
AI に書かせるときは、とくに気をつけている。AI は、学習した時点の「最新」を今の最新だと思って書く。だから最新版の一覧を別に用意し、AI の知識よりそちらを優先させている。一覧に無いものは、そのつど調べてから使う。
効く場面世代をまたぐと、壊れ方が分かりにくい。動かなければすぐに気づくが、動くのに古いやり方で書かれたものは、レビューでも見落とす。
人が横で見ていないあいだに進む作業が増えた。読む人が実際に目にするのは、終わったときの報告と、途中で届く質問だけになる。この節の決めごとは、どれも「それだけを読んで意味が通るか」を基準にしている。
採らなかった案経過を全部見せて、読む人に判断してもらう
作業の中身より先に、「何を頼まれたか」「何をしたか」「判断してほしいことはあるか」の 3 行を書く。判断が要らなければ「なし」と書く。頼まれていない作業(自動で動いたものなど)なら、何がきっかけで動いたのかを書く。
経過を全部見せても、読む量が増えるだけで、判断に使える情報は増えない。読む人は、次に自分が何をすればよいかを知りたい。
採らなかった案用語集を別に用意して、そこを見てもらう
専門用語には、括弧で 1 行の言い換えを付ける。技術の話には、それが仕事や運用にどう影響するかを 1 文添える。略語は、初めて出たところで元の言葉に開く。
別の場所に置いた説明は、まず開かれない。説明は、その場に書かないと読まれない。
採らなかった案相手の知識を見積もって、要らなそうな説明を省く
道具の名前、設定の名前、社外のサービスの名前は、1 つの報告の中で初めて出たときに 1 回だけ、「何をするものか」「なぜ今出てきたか」を添える。添えるか迷ったら、添える。
「知っているはず」は書き手の主観で、それが外れたときにだけ、相手が困る。長い作業では、前に説明したかどうかを正確には追えない。だから「初めて出たとき」は、1 つの報告の中で数える。
採らなかった案選択肢を、短い名前だけで並べる
質問には「なぜ今これを聞くのか」を 1 文入れる。選択肢ごとに、選ぶと何が起きるかを平易な言葉で書く。取り消せるかどうかや、費用・時間に差があるなら、それも書く。おすすめがあれば先頭に置き、その理由を 1 行添える。
選択肢を短い名前だけで並べても、意味は書いた本人にしか通じない。背景を書かずに選ばせると、選ぶ側は作業の中身を推測するしかない。
採らなかった案具体を持っていないところは、それらしい言い方で埋める
「包括的な」「見ていく」「浮き彫りになっている」のように、中身が無くても書けてしまう言葉を一覧にしてあり、文章を出す前に照らし合わせる。ただし消すだけでは穴があくので、数字・事実・自分の判断に置き換える。
置き換える中身を持っていなければ、その文は書かない。持っていない中身をこしらえれば、それは捏造になる。書かないほうがまだ正しい。
採らなかった案書きながら整えて、書き終えたら出す
報告や質問を出す直前に、1 回だけ自分に問う。「作業を見ていない人がこれを読んで、意味と次にやることが分かるか」。分からないところがあれば、前提を書き足してから出す。
書いている最中は、自分が作業を全部見ているので、この問いは当てられない。書き手が読む人の立場に立てるのは、出す直前の一度だけ。だから、読み返すのはそのときと決めてある。
自分で作った検査や見立てを、そのまま判定(進めるか止めるかの決め手)にしてしまう。これがいちばん危ない。実際にこれで間違えたので、決めごとにしてある。
自分の中だけで回る輪
よく考え直しても、この輪からは出られない
外で確かめられるもの
進めるか止めるかは、こちらだけで決める
採らなかった案もっと注意深く見直してから信じる
手元で作った測定(試算、模擬の実行、自作の採点)は、仮説として扱う。進めるか止めるかは、外で実際に測った値、実際に動かした出力、人が確かめた事実をよりどころにして決める。数字を出すときは、それが実測なのか仮説なのかを書き添える。
同じ間違いを繰り返す原因は、注意不足ではなく、自分の推論を自分の推論で確かめていることにある。これでは輪が閉じたままで、「もっとよく考える」では抜け出せない。外の事実に当てて確かめるしかない。
実測(2026-08-25)自動の点検が「読めない画像が 20 件ある」と出したとき、原因を見立てだけで決めていた。実際に測ると、原因は別だった。しかも調べる途中で、設定を書いた場所が間違っていて、エラーも出ずに無視されていたことが見つかった。正常に動いているあいだは、表に出てこない壊れ方だった。
採らなかった案数字が出てから、妥当かどうかを考える
数字を根拠にする前に、「この測定は〇〇のときだけ信用してよい」と書いておく。その条件を確かめられないなら、その数字で判定はしない。毎回確かめるのは 3 つ。どんな対象を測ったのか。それは本番で効いてくる対象か。別の測り方でも同じ結果が出るか。
数字が出てから考えると、欲しい結論に合う理由のほうが先に見つかる。自分で弱点を書いておきながら、それでも数字を出して結論に寄せたくなったら、そこで立ち止まる。
採らなかった案検査役を増やして、多数決で決める
検査役(作業の結果を点検させる別の AI)の指摘は、2 つに分けて確かめる。食い違いが本当にあるか。あるなら、どちらが間違っているか。前者は機械でも分かるが、後者は元の記録を見ないと決まらない。
どちらが間違っているかを取り違えたまま直すと、正しかったほうを壊してしまう。検査役の数を増やしても、この向きは決まらない。増やすより、元の記録に当てる。いつもの検査 1 回は、毎回通す。それ以上に別の目を足すのは、大事な判断のときだけにする。何にでも検査役を重ねると、結果は変わらないのに手間だけが倍になる。
実測(2026-08-31 と 2026-09-01)指摘された食い違いは本当にあったのに、どちらが正しいかが逆だった例が 2 件あった。1 件は「これは配布物から外すべきだ」という結論のほうが誤りで、正しくは古い注記を直すことだった。もう 1 件は元のデータが正しく、直すべきは検査のほうだった。
採らなかった案相手が受け取りやすい形に整えてから出す
期待されている結論でも、それに反する事実があれば、はっきり言う。悪い報せは、和らげず、脚注に回さず、後回しにもしない。自分が作ったものも、他人が作ったものと同じ厳しさで疑う。
相手の仮説だから支持する。自分が作ったから信じる。どちらも、同じ種類の身びいきになる。「たぶん大丈夫」「方向性は合っている」で締めたくなったら、そこで立ち止まる。受け取りやすく整えたぶんだけ、判断に要る情報は減る。
作業が終わったら、わかったことを種類ごとに、決まった場所へ書き出す。整理のためではない。試行錯誤の経過を抱えたままだと、次の判断が鈍る。結論だけを書き出して、経過は手放す。
採らなかった案経過も全部覚えたまま、次の作業へ進む
調べたこと、試して駄目だったこと、途中で捨てた案は、そのつど記録に書き出す。覚えておくためではなく、頭から手放すために書く。
経過を抱えたまま次を判断すると、捨てたはずの案に引きずられる。これは人でも AI でも同じで、結論だけを持って次へ進むほうが、判断が正確になる。
採らなかった案直したファイルごとに記録を残す
何を直したかの記録は、1 つの計画につき 1 ファイルにまとめる。書くのは、触ったもの、何をどう変えたか、なぜ必要だったかの 3 つ。終わらなかったことがあれば、「残り」として書き足す。
直したファイルごとに残すと、1 つの狙いで入れた変更が、ばらばらの記録に散ってしまう。後から読む人は、何を変えたかではなく、なぜ変えたかを知りたい。狙いの単位でまとめておかないと、それが読み取れない。誤字の修正のような軽いものは記録しない。何でも残すと、記録があること自体に意味がなくなる。
採らなかった案やること一覧に、終わった内容もそのまま残していく
これからやることは 1 か所に集め、まだ手を付けていないものを必ず上に置く。1 件は数行まで(深刻さ、何が問題か、どこの話か)。終わったら、結果や詳しい中身は一覧に書かず、日付つきの記録へ移して、一覧にはリンクだけを残す。
優先するのは、控えている仕事を埋もれさせないこと、この 1 点。終わったものの説明が増えるほど、まだ手を付けていないものが下へ押し流される。誰も読み返さなくなった一覧は、役に立たない。
採らなかった案毎回きちんと深く調べる
コードを直したら毎回、軽い点検を通す。入力の扱い、権限まわり、外部との通信、秘密の値、ファイルやコマンドの実行など、危ないところに触れた変更のときだけ、セキュリティの点検を加える。関係のない変更(文章だけ、設定だけ)では飛ばし、飛ばしたことを書き残す。
深く調べる検査は、節目に人が起動する。毎回やらないのは、手間の問題だけではない。毎回のように警告が出る検査は、そのうち検査ごと無視される。軽い点検を「気づいたらやる」に任せないのも同じ理由で、任せておくと、忙しいときに抜け落ちる。
良いことだけを書かないための欄。この決めごと自体に、まだ埋まっていない穴が 3 つある。
ここにある決めごとのほとんどは、何かをしなかったことで守られる。推測で進めなかった。まとめて聞かなかった。整えてから出さなかった。しなかったことは記録に残らないので、守れた回数も、破った回数も数えられない。
数えられる形に変える案は採らなかった。たとえば「報告に必ず 3 行を入れたか」で数えると、3 行を書いただけで中身の無い報告まで「守れた」と数えてしまう。数字が出るぶん、そのほうが危ない。
「要点に絞る」と「知っているはずで省かない」は、書くたびにぶつかる。前者は削れと言い、後者は足せと言う。いまは「後者を優先する」と順位を書き足して収めているが、この収め方は、ぶつかる組が増えるほど効かなくなる。
ぶつかっている組を見つける仕組みは無い。書いた本人が、両方を思い出したときにしか気づけない。
原文を直して、このページを直し忘れても、機械は何も言わない。2 つの文章が同じことを言っているかを機械で検査する案は、採らなかった。機械で捕まえられるのは節を丸ごと消したときだけで、中身の書き換えは捕まらない。事故の本体は、この書き換えのほうにある。
しかも検査が通ると、「揃っている」という間違った安心だけが残る。機械が見たという安心は、人が見なくなる言い訳になる。そこで代わりに、このページの根拠を原文ではなく、日付つきの作業記録に置いた。過去の記録は、原文を直しても変わらない。
同じ決めごとが、役割の違う 3 つの形で存在する。読む人に向けて書いたのは、このページだけ。
AI に毎回読ませている原文。同じ決めごとを、AI がそのまま従える形で書いてある。
道具の名前・置き場所・接続先が入るので公開していない
同じ決めごとを、読む人向けに言い換えたもの。採らなかった案を必ず添えてある。
手元の環境の話は 1 つも書いていない
いつ何を直し、そのとき何を測ったかの記録。決めごとがなぜ生まれたかは、ここでたどれる。
このページの実測はここから引いている
設定文書を読む人向けに言い換えたのがこのページで、日付つきの実例は作業記録から引いている
出典は、作業のたびに残している日付つきの記録。数字はすべてその時点の実測で、あとから測り直していない。
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